疾患について知ろう!第11弾「頸椎の脱臼・骨折」について

 こんにちは!みやもーです!

 今回は疾患別シリーズ第11弾として、頸椎の脱臼・骨折についてご紹介します。

 それでは、本題に入ります。

 

【概要】

 頸椎の脱臼、骨折は整形外科領域では最も重篤な外傷の一つであり、近年の交通外傷、スポーツ外傷の増加に伴い、その頻度はさらに増加傾向にある。頚髄損傷を合併する危険性が高くそれにより予後が大きく左右される。加えて、頭部外傷をはじめ他の部位の重篤な外傷の合併が多く、初期に見逃されやすい。初診時に正しい診断を下し、適切な初期治療を行い、脊髄に新たな損傷を与えることのないようにする。

 

・上位頸椎損傷

 1.環椎骨折 (①前弓単独骨折、②後弓骨折、③側魂骨折、④破裂骨折:Jefferson骨折)

   

2.軸椎骨折 (①歯突起骨折、②軸椎関節突起間骨折、③軸椎椎体骨折、④環椎後頭関節脱臼 ⑤環軸椎脱臼)

 

・中位・下位頚椎損傷

 伸展損傷、屈曲損傷、伸展回旋損傷、屈曲回旋損傷、側方屈曲損傷、軸圧損傷

 

①上位頸椎損傷

  1-(1)前弓単独骨折

   極めて、まれな骨折。局所の疼痛が軽減するまで安静臥床させるかかんたんな外固  定をするだけで十分。

  1-(2)後弓骨折

   局所の疼痛が軽減するまで安静臥床を保ち、その後はSOMIを装着させて起立歩行 を始める。固定期間は6~8週間である。

  1-(3)側魂骨折

   単独骨折は少なく、ほとんどの場合が破裂骨折に合併して横靱帯付着部剥離骨折の かたちをとる。

  1-(4)破裂骨折:Jefferson骨折

   局所の疼痛が軽減するまで安静臥床を保ち、その後はhalo-vestやSOMIなどの外固 定を3カ月程度行う。

  2-(1)歯突起骨折

   Ⅰ型:まず環椎後頭関節の不安定性の有無を評価し、不安定性が存在すれば後頭頸椎間固定を行う。不安定性がなければX線像での骨癒合を得るまでhalo-vestやSOMIなどの外固定を2~3カ月行う。

   Ⅱ型:本骨折は不安定性であり、最も偽関節になりやすい。Halo-vest外固定を2~3カ月程度行う。その後SOMIに変更しX線で骨癒合を確認するまで装着させる。骨折部の隙間が広がってきたり、骨硬化が認められてきた場合は偽関節に移行していると判断し固定術を行う。

      Ⅲ型:骨折部の接触面積が広いので保存療法で骨癒合を得やすい。Halo-vestを約2ヵ月間装着する。その後骨癒合を得るまでSOMIなどの外固定を行う。

 

2-(2)軸椎関節突起間骨折

 別名hangmn’s fractureとも呼ばれる。本骨折は3型、4タイプに細分類されている。最も多いⅠ型は、頭部の伸展位の圧力により発生する。Ⅱ型とⅡ-a型は、屈曲力に牽引力あるいは圧迫力が作用して発生しC2-C3間椎間板損傷を伴うことが多い。Ⅲ型は椎間関節のlockingを呈したものである。

 

2-(3)環椎後頭関節脱臼

外傷性環椎後頭脱臼の場合、致命的なことが多く見逃されていることが少なくない。環椎後頭骨脱臼は、後頭骨と第一頸椎の間の接合部の脱臼と上部頸椎の重傷です。

種類としては1.前面(腹側)に向かう転位Ⅰ型 2.後面(背側)に向かう転位Ⅱ型 

3.環椎後頭関節の軸方向への転位Ⅲ型 4.側(横方向)への転位Ⅳ型に分かれる

症状としては1.発音軟部組織は首と頭の腫れ 2.頭部神経のVI - XIIに障害

      3.呼吸器・循環機能の麻痺 4.四肢麻痺、永続的な神経学的症示す

2-(4)環軸椎脱臼

          非常にまれであり、致命的な場合が多い。第一頚椎(環椎)と第二頚椎(軸椎)とが脱臼

した状態で、外傷、炎症性疾患(とくにリウマチ、他に透析など)、腫瘍、先天異常などで生

じ、後頭部痛、頚部痛、頚椎の運動制限、進行すると運動感覚障害などを生じます。
脱臼の程度が強く、神経          症状がある場合などには手術が必要です。

 

~上位頸椎損傷の理学所見~

  ○脊柱所見

  激しい頚部痛や脊髄損傷を伴っている場合、頸椎運動を行わせることは禁忌である。伴っていない場合は頸椎の前後屈、側屈および回旋を調べる。どの方向に運動制限があるか、どの方向への運動で疼痛が誘発されるかを確認する。四肢や体幹の神経学的検査は必須の検査である。

 

②中位・下位頸椎損傷

(1)伸展損傷

頻度が高く、軽度の中心性損傷から完全横断性損傷まで種種の程度の損傷を合併することが多い。剥離小骨折をみられることがあるが、X線上明らかな損傷を示さない例もまれではない。

(2)屈曲損傷

椎体の破裂骨折などが起こる。後方には棘間靭帯損傷による損傷、椎弓骨折などを、前方にはtear drop fractureをみることも多い。重篤な脊髄損傷の合併が多い。

(3)伸展回旋損傷

  まれである。

(4)屈曲回旋損傷

Unilateral facet interlockingの型をとる。重傷な脊髄損傷の合併は少ないが直達牽引によっても整復が困難であり、治療に難渋することがある。

   

(5)側方屈曲損傷

側魂の骨折、鈎突起骨折などの型をとるため非常にまれである。腕神経叢麻痺を合併することがある。

   

(6)軸圧骨折

  椎体圧迫骨折の型をとり、安定型である。

 

以上です。

それでは、また。