人間の脳について知ろう!第6弾「脳幹について」

 今回は「脳幹」についてご紹介します。

 また今回で「脳について知ろうシリーズ」は最終章となりますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい!また他のシリーズが気になった方は、他の記事も読んでいただけると嬉しいです。

 では、本題に入りたいと思います!

 

○脳幹のしくみ

脳幹とは中脳、橋、延髄が含まれます。脳幹部は両側大脳半球に挟まれるような形で、間脳から連続して中脳に移行し、橋、延髄に至り、脊髄に連なっている。

○延髄

延髄は橋と脊髄の間を占める小さな部分である腹側正中部には前正中裂があり、その両側に錐体というふくらみが見られる。錐体は錐体路をつくる神経線維によってできたふくらみで、その大部分は錐体の下端で交差する。これを錐体交叉と呼んでいる。錐体のさらに外側にはオリーブというかたまりがあり、中に錐体外路系に属するオリーブ核を入れている。第四脳室の底は菱形をなしているので菱形窩と呼ばれるが、延髄の背面上部は菱形窩の一部をなしている。背面下部の正中部には後正中溝があり、その両側に薄束結節および楔状束結節というかたまりを形作っている。それぞれの中には薄束核、楔状束核がある。この部で延髄の断面を作ると、薄束核と楔状束核から出た線維が反対側に交叉しているのが見られる。これを毛帯交叉と呼ぶ。交叉した背には視床に向かう神経束である内側毛帯となる。延髄には呼吸中枢や、動脈血中の二酸化炭素濃度を感知し、心臓の働きを調節する中枢がある。心臓抑制中枢、また血管の収縮をコントロールする血管運動中枢などもある。

○橋

橋は中脳と延髄の間で、小脳の腹側にある。橋の腹側は大きく膨れており、この部を橋底部という。橋は橋底部と廃部の橋被蓋とに分けられる。橋底部の中心は、大脳脚を通って下行して来た錐体路および錐体外路線維よりなる白質と、その中に散らばる橋核といわれる灰白質よりなる。皮質橋核路の線維は橋核でニューロンを変え、これらは中小脳脚を作って小脳に入る、橋被蓋の背側部は第四脳室の底にあたる。橋の中央部は上行性伝導路が通る。

○中脳

中脳は間脳の下方にあり、下は橋に続く。中脳は背側から腹側にかけて中脳蓋、中脳被蓋、大脳脚に区分される。中脳内部には第三脳室と第四脳室を結ぶ中脳水道が通る。

※中脳蓋

中脳水道より背側の部分で、上下に左右1対ずつの半球状の隆起、すなわち上丘と下丘がある。全部で4個の隆起があることから四丘体とも呼ばれる。上丘は視覚の体反射に関係し、下丘は聴覚の体反射に関与する。

※中脳被蓋

中脳水道より腹側の部分で大脳脚との間をいう。この中には肉眼的に赤っぽく見える1対の赤核がある。赤核は小脳からの線維を上小脳脚を通して受け、主として橋や延髄の網様体あるいは視床に線維を送る。これは錐体外路系に属する神経路である。被蓋と大脳脚の間にはメラニンを持った細胞の集団である黒質がある。黒質は線状体および淡蒼球からの線維を受け、線状体、淡蒼球および視床に線維を送る。黒質は筋緊張の制御に関与している。特に黒質線状体路はドーパミン神経伝達物質としており、線状体の働きを抑制する。

※大脳脚

大脳脚は中脳の腹側に左右1対ある白質の束で、内包を通る下方線維の続きである。大脳脚の中央部は錐体路が走り、両側は錐体外路が走る。

 

中枢から末梢へ向かう神経路を遠心路、末梢から中枢への神経路は求心路という。

※遠心性

脳幹を通る遠心路の代表は、錐体路である。錐体路は大脳皮質運動領野から顔面や手足、体幹に運動の指令を伝える皮質脊髄路と皮質延髄路の総称である。

錐体路のうち、手足・体幹に運動の指令を送る神経路を皮質脊髄路という。皮質脊髄路内を走行する神経線維の大部分は、延髄の錐体部で左側からの線維と右側からの線維が交叉し、それぞれ反対側の脊髄に進んでいく。これを錐体交叉という。錐体路のうち顔面・咽喉頭。項頸部の諸器管の運動に関係する神経路を、皮質延髄路という。

※求心路

脳幹を走行する主要な求心路は、知覚情報を伝える神経路です。すなわち、遠心路は運動指令を、求心性は知覚情報を伝える神経路である。

 

○脳幹の特殊なしくみと働き

脳幹網様体

神経核と神経軸索が入り混じって網状になった組織で、脳幹網様体は脳幹の中央部を間脳の尾側から中脳、橋、延髄、そして上部頸髄にまで広がっている。

 

※上行性網様体賦活系

あらゆる知覚は脊髄や脳幹を走行する求心性神経路を通って視床に集められるが、この求心性神経路の一部は、脳幹網様体にも神経線維を送っており、知覚情報が脳幹網様体にも入力される。

脳幹網様体では知覚情報が大脳皮質知覚領野で認識されやすくするために、特殊な指令を視床経由で大脳皮質や大脳辺縁系などに送り出す。こうしたしくみと働きを上行性網様体賦活系と呼ぶ。

 

※下行性網様体賦活系

錐体外路系に属しており、姿勢の保持や平衡機能維持のための、筋緊張の調節に重要な役割を果たしている。すなわち、筋肉の緊張を高めたり緩めたりする働きをしている。中枢障害では、除脳硬直という姿勢がみられることがある。下行性網様体賦活系が遮断され、異常な筋緊張の亢進が生じたものである。

 

以上です。今回で「脳について知ろうシリーズ」は最終章となります。

また何か、質問や要望等あればコメントにて教えていただくと幸いです。

それでは、また。