こんにちは!みやもーです!
今回は番外編として、脳卒中のリハビリテーションの考え方について共有できればと思います。
現在のリハビリ界隈の考え方について是非、読んでみてはいかがでしょうか?
それでは、本題に入ります。
○緒言
脳卒中リハビリテーションの基本は、急性期に効果的な早期離床を行い、廃用性障害を予防し、健側を用いた歩行を早期に獲得させること、その後、「後期の回復」として片麻痺の機能回復を追求していくことである。
脳卒中による運動機能障害の回復を促すリハビリテーションの在り方としては、急性期における早期リハビリテーションがとりわけ重要であり、その正否が2ヶ月以後の回復期における改善をも左右する。過度の安静臥床は筋力低下などの廃用性障害を助長するだけでなく、重大な合併症として下肢に深部静脈血栓症を生じ、急性肺血栓塞栓症を引き起こすリスクを増大させることにもなる。
脳卒中の急性期には、脳浮腫や脳血流量低下、diaschisisなどによる機能低下を生じており、そうした脳の病的現象の消退により改善が期待される時期が「初期の回復」と呼ばれ、発症から2ヶ月の時期とされる。その後、脳の可塑性による機能的再組織化やdiaschisisの解除などのメカニズムが生じて機能改善が得られる時期が、「後期の回復」あるいは「真の回復」とされ、発症後2ヶ月から1年間持続する。「後期の回復」がみられる症例では、SPECTにて病巣と反対側の視床、線状体、尾状体、運動前野における血流の増加が指摘されている。脳卒中急性期における早期リハビリテーションの実施は、「初期の回復」を促し、さらに早期に患者の活動性を高めていくことにより、効果的な「後期の回復」へとつなげることができる。急性期には健側上下肢を用いて早期に歩行とADLを自立されることにより、退院が可能となる。その後、運動麻痺などの改善を、外来通院リハビリテーションにより半年から1年間継続して追求していくプロセスが、急性期から回復期にかけた、望ましい脳卒中リハビリテーションの在り方といえる。
○病型別の早期離床、早期リハビリテーション
早期離床を開始する一般的原則として、例として、意識レベルがJCSにて10以下、運動禁忌の心疾患がなく、発症後24時間以上神経症状とバイタルサインの悪化がなければ離床としている。脳出血では、入院後のCT所見で血腫の増大、急性水頭症の発現がなく、血圧のコントロールが降圧薬にて可能な場合としている。脳梗塞ではMRI/MRA所見を参考として、ラクナ梗塞の場合には診断日より、アテローム血栓性梗塞では神経症状の増悪がないことを発症から3~5日間観察して離床開始となる。心原性脳塞栓では、簡便に心エコー所見にて左房内血栓と心不全徴候の否定の後に離床とする。離床時の血圧は、多くの急性期例では上昇を示すために、脳出血では収縮期血圧を160㎜Hg、脳梗塞では200~220㎜Hgを上限として基準を設定しているが、施設ごとの基準を設定して行うとよい。
○急性期における早期離床・早期リハビリテーションの具体的方法
急性期における時間的な経過は速やかであるために、もっとも効果的な運動負荷を選択して離床を進め、患者の自立度が早期に改善するようにはかる。バイタルサインのチェックと並行してベッドサイドにて坐位を開始する。次に健側上下肢の随意的な運動負荷を行い、筋力低下を予防する。麻痺側が完全麻痺でなければ麻痺側上下肢の随意的運動も開始する。さらにベッドサイドにて健側を用いた起立-着席訓練を開始する。廃用性障害による筋力低下が生じないうちに、起立-着席訓練を開始し、自力での坐位と起立の獲得を目標とする。急性期には患者の疲労を考慮して午前と午後に分けて実施するなど、運動負荷を少量頻回の原則にて行う。
○歩行訓練・ADL訓練
次のステップとして、麻痺側下肢に下肢装具を用いた歩行訓練へと移行する。廃用性障害を効果的予防できれば、麻痺の重症度にもよるが、不全麻痺例では発症から1ヶ月以内に、完全麻痺例でも2~3ヶ月で歩行獲得が可能となる。下肢麻痺の改善に応じて、下肢装具を検討して処方・作成し、良好な改善を示す場合には下肢装具が不要となる場合もある。また、ADL訓練を、離床後に歩行訓練と並行して行う。健側上下肢を用いた起き上がり、坐位、トランスファーの訓練、さらに整容動作、食事動作、更衣動作、排泄動作訓練を行う。目的とする動作訓練を病棟生活の場面で反復して実施することが、ADLの改善につながる。
○片麻痺の改善
片麻痺の改善は、患者の年齢や全般的活動性、さらに意欲など多くの要因に左右されるために、一律に予後を論じることは困難である。しかし早期離床・急性期リハビリテーションが順調に進んだ症例では、発症後半年から1年間の機能訓練を継続することにより改善が期待できる。
以上です。
それでは、また。